仕様

表面板

長時間自然乾燥をしたものを使用することが大切です。

多くの場合は,松材や杉材と呼ばれている材料を使い製作され、それぞれの材料は特有の素晴らしい音がします。 

また、材料の産地によっても素材の性質が大きく異なります。注意しなければならないのは、木目の緻密さだけで材料の善し悪しの判断をする事は難しいということです。緻密な木目で素晴らしく見える材料でも、手に取ってみると充分な性能を発揮できない素性の材料も有ります。  近年、ハニカム・コア等を使い特殊な構造で製作されたギターもあります。    接着剤の選択、接着の方法が適切であれば、十分な性能を期待でき新しい音の世界を作る事も可能です。  勿論、これまでの様にスペイン等の伝統的な製作方法でも優れたギターは製作されています。 いづれの方法でも素材を適切に使うことが重要です。  特に表面板には、組成の良い材を使うことが重要ですが、残念なことにそのような表面板の数は限られています。 暖かい時期、充分に成長した多少広めの木目の表面板も大変素晴らしい音がします。 これらの事は、表面板が音を決定する大きな要素であることを示しています。

横板、裏板

ハカランダ材はクリアーでパワフルな音がすると言われ、ローズウッドは甘く柔らかな音がすると言われます。

現在はハカランダ材の入手が不可能な為に、貴重なものとなってしまいました。 ローズウッドの方が好きだという製作家、ギター演奏家もたくさんいます。  既に、中南米ローズ・ウッドも入手は困難です。 

今後、MIURAギターでも他の材料での製作も開始することになると思いますが、ハカランダだけが最良の材とは言えない時代ですし、

他の材でも素晴らしい音を実現できることは明らかです。 

ネック材

ネックはその形状や製作されてからの状態で、ギターの機能面への直接的な影響があり大変重要な部分です。 

またその振動特性は、その構造と材質(質量と剛性)により変化し完成した楽器に与える音質的影響は多大です。  ギターを弾いた時、弦の振動は直接表面板とネックを振動させ、それらの振動が逆に弦の振動にフィードバックされていきます。 結果として、表面板を振動させた弦のエネルギーがボディー全体で増幅されて大きな音がするのです。  その振動がフィードバックされていく非常に複雑な過程でネックの剛性やボディーの共振周波数などの影響が加わり位相のずれが発生します。 その結果、全く新しい倍音成分を持つ音、まさにその製作家独自の「音」となるのです。 よく「柾目」の材を指定される方がいらっしゃいますが、「柾目」の材は強度がある・・、

と言うことも考慮すべきです。 アメリカのメーカーには、「ネック材は45度に木目の傾いた材が最良である」という論文もあり、

納得できる理由があります。 スペインの名工と言われてきた製作家の使っている力木でも、柾目ではなく、木目が45度に傾いた材を使っていますが、これにも大きな意味があります。 「柾目が良い・・・」、というだけではないのは、興味深い事です。 

MIURAギターのネックはセダー材とシーポ材でも製作します。

 

駒の構造

MIURAギターは、駒の弦を結ぶ穴に金属等を加工して弦が通るように穴を開けたパイプを固定した構造にしてあります。

使用してあるパイプは、ブリッジ材の方向に少し長めに出して取り付けてあるので、張った弦をパイプの下を通してしっかりとブリッジ材に固定することが可能です。 また、パイプの下を通った弦は「パイプの出口からブリッジ材」までの角度を一定に保ち、弦のブリッジへの圧力を高める事が可能になり、ブリッジの接触点での弦の振動ロスを最小限にすることができ音質に大きな影響を与えます。 また新しい弦を張った時、巻いた個所でじわじわと弦が駒材に食い込むことがなく、音の安定が早く、長年の使用で弦穴の変形、破損等は生じません。 

この構造は既にかなりの使用実績があり、多くのMIURAギターご愛用の方々また、それ以外の方からも支持されています。

最新作では、弦を張る時パイプの下を通した弦が外れない構造に改良しました。

このパイプ構造は、MIURAギター以外のギターへの使用を許可しておりません。

(2000.5月より、パイプ構造は、実用新案登録、知的所有権登録により権利を保証されており、全ての権利はMIURAギターに所属します)

 

塗装

スペイン伝統のセラックニスのタンポ塗りを行っております。

非常に薄く仕上げることも可能であり、塗膜の性質上ギターの自然な鳴り方を損ないません。

セラックニスは科学塗料とは違い、ラックカイガラ虫(Lacoifer Lacca Kerr)というカイガラ虫類の一種でセミウンカアブラ虫と同じく半翅目同翅亜目に属している、虫から作られるものです。

ラックカイガラ虫の体は0.7mm程度の大きさしかなく、幼虫は2-3m位の歩行が可能で、すぐに寄生する樹木にたどり着き吸着管を樹木の皮に刺し、そこで一生を過ごすようです。

セラックは、ラックカイガラ虫がその体を包み保護する為に分泌した樹脂で、それを採集して精製したものがセラックニスです。

非常に優れた塗装用材でありスペインでも100年以上前からギター塗装に使われています。

しかし、セラックの分子構造上その中に水酸基とカルボン酸基があり、水を吸着しやすくその結果ベタツキ感や、特に夏の湿気による

「白化現象」により取り扱いが面倒だと言われてきました。

MIURAギターでは、セラック塗装後、塗膜が完成硬化した時点での耐水性をさらに向上させる為に、特別に製造をした添加剤を調合したセラックを使用しています。  (この添加剤の販売はしておりません)

「セラックは、夏場どうしても白化してしまう」と言うのは昔のお話です。

MIURAギターでは、それらの現象が演奏上また、楽器の取り扱いで問題にならないレベルにまで改善されていますので、白化現象の発生が殆どなく、塗装面のベタツキ感もありません。  新しい感覚のセラックニスのタンポ塗装方法です。